駐車場契約の買主からの解約(解除)の注意点

駐車場契約の買主からの解約(解除)の注意点

1.比較的契約解消しやすい

借地借家法の適用はない。
建物所有目的での土地の賃貸借でないから。

借地借家法第2条 この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
一 借地権 建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権をいう。

したがって,解約について厳しい制限はない。

        契約更新を断る

ことも可能。

2.契約期間終了時に要注意

契約期間が定められている場合,更新しないなら,契約期間終了後,遅滞なく,貸主から使用継続に対して,

異  議

を述べなければならない(民法619条1項)。

第619条 賃貸借の期間が満了した後賃借人が賃借物の使用又は収益を継続する場合において、賃貸人がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の賃貸借と同一の条件で更に賃貸借をしたものと推定する。この場合において、各当事者は、第617条の規定により解約の申入れをすることができる。

異議を述べないと前契約と同一条件で賃貸借をしたものと推定される。但し,同一条件といっても賃貸借期間は定めのないものとなる。

定めのないものとなった後の解約はいつでもできるが,土地の賃貸借の場合は

                                              1年後の解約

となる(民法617条1項)。この適用を避けるには,初めの契約時,特約で排除する。

第617条 当事者が賃貸借の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合においては、次の各号に掲げる賃貸借は、解約の申入れの日からそれぞれ当該各号に定める期間を経過することによって終了する。
一 土地の賃貸借 一年
二 建物の賃貸借 三箇月
三 動産及び貸席の賃貸借 一日

3.賃料未払いの場合

賃料不払いの解除のケースで,内容証明上,「行き違いで支払をされた場合はご容赦・・・」などと記載するのは,この場合よくない。
借家の事例であるが,「無断転貸を理由とする賃貸借契約解除の意思表示は、それ以外の理由によつては解除をしないことが明らかにされているなど特段の事情のない限り、同時に借家法1条ノ2の解約申入としての効力をも有する」という判例(昭和48年7月19日/最高裁判所第一小法廷/判決/昭和47年(オ)968号)がある。

                                          解除 兼 解約!!

この判例の趣旨からすると,解除通知が届く直前に賃料が支払われた場合でも,解除通知は617条の解約申入れとして有効ということになろうが,上のような記載があるとその記載が特段の事情とされて解除通知の解約申入れとしての効力は無効と判断される可能性がある。契約を継続したいなら別だが。

いずれにしても,未払賃料を微妙なタイミングで支払いされてしまった場合,債務不履行解除が有効となるのかあるいは債務不履行解除が無効で民法617条の解約申入れとなるのか,はっきりしない場合もでてくる。

上記判例抜粋
「賃貸借の解除・解約の申入れは、以後賃貸借をやめるというだけの意思表示であり、その意思表示にあたりいかなる理由によつてやめるかを明らかにする必要はないのであるから、賃貸人がたまたまある理由を掲げて右意思表示をしても、特にそれ以外の理由によつては解除や解約の申入れをしない旨明らかにしているなど特段の事情のないかぎり、その意思表示は、掲げられている理由のみによつて賃貸借をやめる旨の意思表示ではなく、およそ賃貸借は以後一切やめるという意思表示であると解するを相当とする。そうすると、その意思表示の当時、そこに掲げられた理由が存在しなくても他の理由が存在しているかぎり、右意思表示は存在している理由によつて解除・解約の効力を生ずるものと解すべきである。それゆえ、たとえ、無断転貸により解除する旨の意思表示がなされても、その当時、借家法一条の二の正当事由が存在しているときには、右意思表示は同時に同法同条による解約申入れとしての効力をも生じているというべきである」

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